和室は住む人の目的によって、その役割が変わってきます。どのような位置づけで使用されるのかを考え、それに応じた照明を考える必要があります。
和室とは
和室は、日本独特の空間スペースで、洋のリビングとはまた違った佇まいがあり、日本に住んでいるのであれば、四季を感じ、心穏やかに過ごせる部屋でもあります。
さらに畳、障子や襖があり、工夫次第で、和洋折衷自由自在にデザインできるところにも、和室の面白さがあります。
テーブルをおけば書斎に、布団を敷けば寝室に、座布団があれば休憩スペースとして、ごろ寝で仮眠がとれたり、アイロンや洗濯物、書類の整理のできる作業スペースとしても使えます。
和室が1つあれば、来客や客間として使うことも可能です。世代の違う方の生活部屋としても威力を発揮します。
和室の照明
洋風のリビングに、その続きのお部屋として和室スペースが設けられている住宅が多く見られますが、リビングと和室を区切って使うのか、一体感のある趣にするのかでも、置く照明の表情は違ってきます。あくまで、リビングと同じ生活空間と考えるなら、デザインも合わせて、違和感のないようにしたいです。
和室でどんな風に過ごすのか、どのように使いたいのか、用途を明確にすることで、その目的に適った照明が決まってきます。
用途や目的が大事と述べましたが、照明はいたってシンプル。
次の3ヵ所に、
①天井
②床の間(がある場合)
③お座敷(床)
統一感のある照明器具を置けば、快適に過ごせます。
①天井
和室の天井照明には、シーリングライト、ダウンライト、ペンダントライトが取り付けられることが多いです。
天井に固定するシーリングライトzeは、部屋全体を明るく照らしてくれますが、やや単調になりがち。和室の従来から持つ安心感や安定感を感じさせてくれるので、居間だけでなく、年配の方々の生活スペースであったり、客室用としてのご使用にもぴったりです。
和室に広がりを持ちたいときは、ダウンライトがおススメです。埋込式なので、天井がスッキリ見え、デザイン性が高く、和モダンな印象を感じられます。
お部屋全体を明るくするには無向きですが、陰影ができ落ち着いた空間にしたい場合は、ペンダントライトが最適です。デザイン性の高い和風のペンダントライトが多く、販売されているので、お住まいに合うおしゃれな照明を見つけることができるでしょう。
②床の間(がある場合)
白熱灯や電球色の蛍光灯などを使い、上から下まで、部分的なグラデーションの光を当てます。床の間に生け花などが飾られている場合は、ダイクロハロゲンのナロータイプのスポットライトを取り付けます。LED照明のナロータイプは、照射深度が深く、範囲が狭いので、中心は明るく、周囲が暗いため、お花だけ光を集中して当てることができます。
③お座敷(床)
天井の木目を美しく照らし、暗がりの空間で、のんびり過ごしたいときは、スタンドライトがピッタリです。

一般的に和室の照明の素材には、和紙や竹、木製の自然素材が使われることが多いです。しかし雰囲気を損ねたりせず、モダンさを演出できるようなダウンライトなどの照明を使うなど、和のものにこだわらず、自由に考えると楽しく、思っても見なかった照明デザインと出会うかもしれません。
安斎哲(2018).『世界で一番やさしい 照明』.建築知識
安斎哲(2021).『世界で一番くわしい 照明-最新版-』.株式会社エクスナレッジ
Re:CENO(リセノ)(2023).『ナチュラルヴィンテージで作る センスのいらないインテリア プロが教えるセオリー&アイデア』.翔泳社